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2023/04/04
知名オーディオのリブランディングにあたり、クリエイティブディレクターの大城直也氏、カメラマンの大湾朝太郎氏の2人が、メインビジュアルで知名オーディオの新たな世界観を作り上げました。
リブランディングの構想、メインビジュアル制作への思いから、撮影の裏話、今後のことまで話が及び、クリエイター談義にまで発展。
知名オーディオをきっかけに展開された、クリエイター同士のインスピレーションあふれる“掛け合い”をお楽しみください。
創業者の知名宏師(ちな・ひろし)さんとの出会いは、宏師さんが趣味で飛ばしていたラジコンの現場でした(笑)。私の親戚がラジコンをやっていて、そこに宏師さんもいらっしゃっていたんです。数年後にお会いしたのは撮影のとき。そこで一緒にジブリ映画の『紅の豚』を流してもらいながら知名オーディオの音を聴かせていただいたんです。「(このスピーカー)音がいいんだよ!」って言われて。ライブ会場で感じるスピーカーからの音圧ではなくて、「波紋のような、空間全体を包むような音だな」と思いました。その後、制作現場も取材させていただき、ハンダを使わない独自の溶接技術で部品を作っていること、電気抵抗の話なども聞かせていただきました。
音が会話を邪魔しないので、バーなど飲食店でもよく導入されていますよね。生活の中に溶け込む心地良い音として、知名オーディオのスピーカーは最適だと思います。
沖縄市のパン屋「zazou(ザズー)」さんとか、那覇市の飲食店「ワイン食堂 トランク」さんなど、こだわりのあるお店に行くとよく知名オーディオが置いてあるから、「いい製品なんだろうな」と思っています。
知名オーディオを置く店、増えていますよね。沖縄市のコザ周辺はもちろんですが、那覇市内にも、私が初めて知名オーディオを体験したのは、知名オーディオのオフィスでの打ち合わせでした。5〜6人が会話していたんですが、かなりのボリュームで音楽を流していても、全く話を邪魔しなかったんです。人の話す声とスピーカーから出る音の音域が違うのかなと思いました。
その後、あるバーの店員さんに話を聞く機会がありました。オープンからクローズにかけてだんだん大音量になる音楽のせいで、閉店時には頭が痛くなっていたそうなんです。それが知名オーディオだとある程度のボリュームで音楽をかけていても頭が痛くならいと聞きました。体に負担を掛けない音を出すスピーカーだからこそ、知名オーディオを設置するバーや、病院、ホールが増えているんだと思います。
“仙人”と呼ばれるほどカリスマ的存在である創業者の宏師さんには、たくさんのお客様がファンとして応援してくれていました。仙人のカリスマ性に引かれたファンの方々が、「宏師さんに会いたい」とか、「宏師さんとしゃべるのが面白いから」と引き込まれて、知名オーディオを買ってくださるという流れ。
現在、お店を切り盛りしている知名亜美子さんは、そんな仙人の話をそばでずっと聞いていて、知名オーディオの成り立ち、製品特長などを全て言語化し、仙人の理念とものづくりへの思い、知名オーディオのアイデンティティがインストールされている。亜美子さんはこれまでのお客様である仙人のファンを大切にしながら、新しい顧客層を開拓していこうと意欲的です。そのためにはこれまでのお客様も、これからのお客様も、知名オーディオから広がる音のように “一緒に包み込んでいくこと”が大事です。
既存のお客様である60〜70代というオーディオマニア世代から、これからのお客様のメイン層を30代〜50代とした時に、創業者の“知名(宏師)イズム”を残しつつ、どう伝えていくか。
最近の購買層の傾向から、クリエイターや経営者、持つものにこだわりのある人たちが増えてきていることからも、リブランディングではそういった層への認知目標を掲げています。実際の購入者の方にもヒアリングしたのですが、こういった人たちは若くても本物志向で、マニアックでこだわりがある。ヒアリングでさらに深掘りして聞いていくと、知名オーディオ自体を「自分のクリエイティビティを刺激する存在」「インスピレーションを与えてくれる存在」として捉えていることが分かりました。つまり、「本物の音を届けたい」という思いで究極のスピーカーを追求しつづけた仙人の生き様に自分を重ね、知名オーディオに引き込まれて、知名オーディオを自分の生活の中に置いている。これが、知名オーディオが積み重ねてきたブランドを醸成している大きな要素であると気づきました。
そしてここから、「(ビジネスであれクリエイティブであれ)何かを作り出している人たちのクリエイティブを刺激する存在」として、知名オーディオのリブランディングの方向性を決めたんです。
「クリエイティブを刺激する存在」としての知名オーディオを、クリエイティブでどう伝えていくか。言葉で説明するのではなく、ビジュアルでまずは感じてもらうことが重要だと思いました。だから商業的ではなく、“知名オーディオの魂”が込められた写真が必須で、朝太郎さんならこの思いを理解して形にしてくれそうだな、と勝手に思い(笑)、撮影をお願いしました。
今回のリブランディングは、2月の東京ギフトショーを皮切りにサイトやリーフレット、オリジナルグッズなどを通して展開していきます。
うれしい! ありがとうございます。撮影の話をいただいたときに、「面白そうだな」というのが第一印象で、あそこにスピーカーを置いて撮影したい」など、すぐにイメージが湧いてきました。直也さんは僕が “知名オーディオの魂”を言語化したときに面白がってくれたり、「こうやったらもっと良さそう」とさらにアイデアを広げてくれたりして、“クリエイティブの掛け算”が生まれることが刺激的でした。
直也さんからのオーダーは「旅するスピーカー」というコンセプトで、「まずはコザ(※1)で撮影したい」ということでした。話をしていく中で、チーム全員の頭の中に緑豊かな自然の中に商品が存在するようなビジュアルが浮かんでいたんです。製品をしっかりと伝えるようなビジュアルよりも、知名オーディオの世界観が伝わってくるビジュアルが作れたらと思っていました。早い段階でチーム内に共通認識ができていたのは知名オーディオだからこそで、これが知名オーディオが持つ“魅力”、“強さ”なのだと思います。
また自分が沖縄市出身ということもあり、「コザで撮影するならこの道で撮りたい」とすぐにスポットが浮かびました。あるライブハウスの路地裏で、地域の人しか通らないような道があるんですけど、そこにスピーカーがあって音が鳴っていたら面白いな…とすぐ想像ができて。
コザ以外の撮影場所としては、「ここに知名オーディオを置いて、音が鳴っていたら面白い」というイメージで選んでいきました。メインビジュアルになったのは、南城市のヤハラヅカサ(※2)の御嶽(うたき)近くの森です。
ロケはいろいろな所を回りながら撮影しました。最後の夕日の海を背景にした写真もばっちり決まりましたね。丸1日がかりの撮影で、コンセプト通り“スピーカーと旅した感”はありますね(笑)。
知名オーディオが店を構えるコザは、撮影場所として押さえておきたかったんです。知名オーディオの話を聞けば聞くほど、このスピーカーが“命が宿る存在”のように思えてきて…仙人そのもののようなイメージです。例えると、ガジュマルの樹の根っこの部分や、断崖絶壁の海のような、強いエネルギーを感じました。このスピーカーが大自然の生命力を、音を生み出す源として吸収し、それを広がりのある豊かな音としてふわりと優しく広げていく。知名オーディオの音のように、生命力を“循環”させている気がしたんですよね。それを言葉だけでは表現できないと思ったので、写真の力を借りて表現しようと思いました。
だから、きれいにライティングして製品カットとして見せることは全く考えていなくて、夕日に溶け込んで、写真のどこにスピーカーが置いてあるかが分からなくてもいいくらいの圧倒的な生命力を、自然の一部として表現する、そのことに集中しました。
ヤハラヅカサって琉球の創世神・アマミキヨが、久高島(くだかじま)の次に沖縄本島に上陸したとき、最初に足を下ろした場所とされていますよね。まさに琉球の発祥で、計らずも「生命力」というキーワードにつながりました。そして、知名オーディオを置いたら、やっぱり格好良かった(笑)。
琉球の創世神の話にもつながるなんて、まさに、運命の巡り合わせのような気がしましたね。沖縄になかなかプロダクトメーカーが育たない中、知名オーディオは唯一無二の製品です。だからこそ知名オーディオのアイデンティティでもある“メイド・イン・沖縄コザ”で発信する意味がある。グローバル企業になってほしいという思いでブランディングを担当しているので、世界を見据えて成長していってほしいですね。知名オーディオの素晴らしさを多くの人に知ってもらいたいと本気で思っているので、その手助けができれば。人に笑われるような大きな夢を掲げていきたい(笑)。
次のクリエイティブでは、もう少しキーワードを広げていきたいと思います。今回は「生命力」だったので、例えば「空腹力」で沖縄の台所で撮るとか(笑)。
シーミー(清明祭)とか沖縄のカルチャーを、スピーカーを媒介にして紹介するのもいいですね。お墓の前でおじぃや子どもたちがご飯を食べている横に知名オーディオがある、みたいなイメージ。
沖縄の亀甲墓(かめこうばか)も“循環”や“輪廻”の考え方があるので、今回の「生命力」というキーワードや知名オーディオの“音の循環”ということにもつながっていきそうですね。
屋外でも南城市のガンガラーの谷みたいな所も良さそう。あそこで知名オーディオの音を聴いたら、気持ちいいだろうなー(笑)。屋外では知名オーディオの音の魅力を十分に発揮できないと思うけど、知名オーディオを持ち出して、あえて自然の中で知名オーディオを聴くっていうこともやってみたいですよね。屋外でも音の反響があるところで聴いたら面白そうですよね。
確かにいいですね。クリエイティブメンバーで世界中を回って撮影したい。スピーカーかついで(笑)。
行きたい(笑)。あえて台湾の雑踏や、ウルル(エアーズロック)とかで知名オーディオで音を流すとか。音って普遍的で、五感の1つだから世界中で音楽が生まれているじゃないですか。音そのもので他のスピーカーとの違いをしっかり伝えられたら、評価されると思う。言語のように「通じない」ことはないですからね。
行く先々の国の曲を流したりすると、直感的に理解してくれそう。その国のミュージシャンや語り部を誰か呼んで、イベント的に仕立てるのもいいですね。
あ、テンション上がると思う! いろいろな国で知名オーディオを聴いている姿を映像で撮って、世界中が知名オーディオの音でつながっているような映像を作るのもいいですね。世界のあちこちで知名オーディオを聴いている映像があったら、それはグラフィックとして面白いと思います。
いいですね、やってみたい(笑)。テレビ会議の画面のようにコマ割りにしてみたり。
これは「音」だからできること、ですよね。食べ物やお酒などだと好き嫌いがあるし。こういう会話をしていると、どんどん(クリエイティブの)発想が広がりますね。
まさに知名オーディオは「何かを作り出す人たちのための、クリエイティブを刺激する存在」として、インスピレーションがどんどん湧いてきますね(笑)。
今回は朝太郎さんというフォトグラファーとのコラボでしたが、今後もいろいろなジャンルのクリエイターとコラボしていきたいですね。例えば、小説家とコラボして、インスピレーションを触発されるような音楽を知名オーディオで流すとか。小説を朗読してもらって流すとか。クリエイターに知名オーディオを預けたら何が起きるか、それを見てみたい。
「クリエイティブを刺激する存在」として知名オーディオをたくさんの方に知っていただくことで、知名オーディオの奥深い魅力をしっかり伝えていきたいと考えています。